中国で出会った美味しいモノ、忘れえぬ料理

杭州に住み始めた2008年の夏は鳥インフルエンザへの警戒心が強く、極力外食を避けていた。しかし、3か月が過ぎると自炊に飽き、ローカルグルメへの探求心が抑えきれず、早朝から屋台や食堂で現地の住民と相席しながらワンタンをすするようになっていた。中国に住み慣れた3か月ころにひどい食あたりになる、とよく聞いた話ではあるが、幸いにも私はその洗礼を受けたことはない。

そんな頃に出会った初めての美味しい食べモノが豆腐脑(豆腐脳)である。
寒い初冬の朝。いつも通学途中に立ち寄る屋台が人だかりだったので、その日は、屋台の向かいにある食堂に入ることにした。濛々と湯気が立ち上る寸胴鍋を指差し一杯注文すると「咸的甜的?(しょっぱいのと甘いのどっち?)」と訊かれた。お粥だと思い込んでいた筆者は、へぇ甘いお粥なんてあるんだ、、、白粥でいいんだけど…と思いながら、しょっぱい方を頼んだ。すると手際よくお椀に干エビやザーサイ、ネギ、醤油などを放り込み、その上に白い液状のものを豪快に盛り付けてくれた。店内は薄暗かったが、テーブルに置かれたお椀を見てようやく気付いた。これは豆腐だと。完全に出来ていないおぼろ豆腐、豆乳が少し固まった半固体といった方が分かりやすいかもしれない。

お粥の口になっていたものの、ひと口食べるとビックリした。日本でも食べ慣れていた豆腐であるが、これまでにない濃厚な豆腐の風味とつるんとした滑らかな口当たりに思わず目を閉じてゆっくり咀嚼した。大豆の優しい甘みと暖かい豆乳が冷えた体に染み渡り、熱々の豆乳と中国醤油が醸し出す絶妙なコクがじんわり残る。

こんな美味しいモノがあるんだ・・・
以降、中国の美味しいモノ感度が高くなり、現在進行中のプロジェクトである山胡桃を初めて口にしたのもこの冬の春節である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください