山ぐるみとの出会い

初めて山ぐるみ(山胡桃)を食べたのは、杭州に移り住んで二回目の春節である。その年の大晦日に大雪が降り、めずらしくひと気の少ない西湖の美しい雪景色が印象的だった。

初二(正月二日目)の朝、CCTVを観ながらまどろんでいると、中国の友人から電話が入った。ひとりで過ごす旧正月は味気ないからと、その友人宅の夕食に招待して頂いたのだ。ちょうど人恋しくなっていたので非常に嬉しかったことを覚えている。

夕食の準備ができるまで、友人や親戚の方々とお茶を飲みながら談笑する。人数は概ね4、5人がリビングルームに集っていた。しばらくすると私の鼻先に甘くて香ばしい匂いがふんわり漂った。発生源は隣のおばちゃんが手にする小袋のお菓子に違いないと思い、つたない中国語でコレは何かと訊いてみた。すると、皆が一斉に山胡桃だよ、食べたことないの?日本にもあるだろう、、、のようなことを皆でワイワイわははは話しながら私の掌にどさっと数袋置いてくれた。こんなとき中国人って気前がよくて優しいな、と思う。

その山胡桃はコーヒー豆のような形と色で、大きさは2センチ前後。小ぶりで硬い。パッケージに「臨安山胡桃」と印字されている。ふーん、クルミの一種か。第一印象は冴えないナッツ。しかし、ひと口食べて驚いた。かなり旨い、のである。匂いよりも美味しい。濃厚なうまみと香ばしさ。バターのような芳醇な風味。日本で胡桃として食されているウォールナッツよりもピーカンナッツに近く、 密度が高く歯ごたえがある。サクサクした食感が心地よい。山胡桃をコリコリ頬張りながら、これは近いうちに誰かが日本に輸出するだろうな、とぼんやり考えていた。

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